厚労省が「過労死白書」を発表! 10人に1人が過労死の危険性にさらされている!

2016年10月8日

2016年10月7日 厚生労働省より「過労死等防止対策白書」が発表されました。これは2014年に施行された過労死等防止対策推進法に則って、過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告が今年初めて発表されるもので、ネット上を始めとして多くの反響がありました。

 
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労働時間と疾病、労災について

労働時間は労働基準法で規制されている

そもそも労働時間は「労働基準法 第三十ニ条」に定められており、一週間で40時間を超えて働かせてはならないとされています。

労働基準法 第三十二条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

これだけだと、残業ができないのですが、俗に言われる「三六協定」(労働基準法 第三十六条のこと)と呼ばれる労使協定が交わされていれば、40時間を超えて働かせることができようになっています。多くの企業は労使協定を結び残業させることができるようになっています。

労働基準法 第三十六条
(前略)第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間~(中略)~に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

労働基準法の罰則規定

労働基準法では罰則規定があり、第三十ニ条違反の場合は「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」とされている。

 

労働時間が月に80時間を超える脳・心臓疾患を起こしやすい

労働時間が長くなるに連れて脳や心臓疾患(脳出血や心筋梗塞等)を発症しやすいと言われています。こうしたことを踏まえ厚労省は時間外労働が80時間/月を超えることが続いた場合は業務と疾患の発症の関連性が強いとして警鐘を鳴らしています。

【荷重負荷の有無の判断】発症前1ヶ月間におおむね100時間又は発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること

引用元 厚労省HP「脳・心臓疾患の労災認定

 

過労死白書による報告

10人に1人は1週間に20時間以上残業をしている

平均的な一週間の残業時間はどれくらいか?と約14000人を対象に行なったアンケートによると、平均すると10%、性別では男性では11.6%、女性でも5.3%の人が20時間以上の労働(月80時間相当)をしていると答えています。上で述べている脳や心臓疾患を発症する恐れのある人が10人に1人いることになります。

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引用元:「厚生労働省 平成28年版過労死等防止対策白書

中小企業の方が長時間労働者の割合が高い

中小企業の方が長時間労働者が多いという結果が出ていますが、鵜呑みにはできません。大企業の場合は、パート社員の人数が多くなってくるため比率が小さくなっている可能性があるためです。

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引用元:「厚生労働省 平成28年版過労死等防止対策白書

長時間労働の業種トップ3

長時間労働者が多い業種トップ3です。(()内は1週間に60時間以上働いている人の割合)私達の生活を豊かにしてくれているの一旦は間違いなく運輸業の発達によるものなのですが、だいぶしわ寄せが言ってしまっているようです。
1位 運輸・郵便業(18.3%)
2位 建設業(11.5%)
3位 教育・学習支援業(11.2%)
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引用元:「厚生労働省 平成28年版過労死等防止対策白書

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勤務先では労働時間以外にも自殺の原因がある

「勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者数の推移」を見ると、「仕事の疲れ」以外に、「職場の人間関係」で悩み自殺をしてしまう人が多い。

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引用元:「厚生労働省 平成28年版過労死等防止対策白書

職業別では「被用者・勤め人」が8割以上を占める結果となっています。

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引用元:「厚生労働省 平成28年版過労死等防止対策白書

 

日本の労働時間はヨーロッパと比較すると多いが、韓国よりは少ない

1990年代から比べると日本の労働時間は減少傾向にあるのですが、ヨーロッパの労働時間と比べる長い傾向にありますが、お隣韓国よりは少ない結果になっています。注目すべきはドイツの労働時間。ドイツのGDPはかなり高いことで知られています。労働時間が少ないのに、GDPが高い。その理由や背景を学ぶ必要があるのではないでしょうか。

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引用元:「厚生労働省 平成28年版過労死等防止対策白書

 
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ネット上で大反響

過労死白書が発表されたことでネット上で大反響となり、過労死是正に関する議論が今後熱くなっていきそうです。

 

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