白カビからの危機回避
10年以上前から流行りだした「自家製ヨーグルト」。スーパーで買ってくるのは牛乳だけでで、「ヨーグルトの種菌」と呼ばれるものに牛乳を注いで室温で放置すれば半日もあればあっという間にヨーグルトのできあがり。
普通にヨーグルトを買ってくるよりも安いし、何より健康にもいいらしいということで主婦を中心に今でもその勢いは衰えていません。
けれど、ちょっと待って下さい。! その自家製ヨーグルト本当にちゃんと作れていますか?
自家製ヨーグルトは白カビだらけ!?
しっかりとした環境下で作ればなんの問題もない自家製ヨーグルトですが、一歩間違えば体調を崩す方向に進んでいるのかもしれないのです。
ある調査によると「自家製ヨーグルトを調べてみたら、ヨーグルトと思っていたものがほとんどが白カビだった」なんてことも。
白カビにも色々種類があり、中には摂取しても大丈夫なものもあります。白カビで有名なのはカマンベールを代表とするチーズですね。
けれどあなたの作ったヨーグルトで繁殖した白カビが、健康に害を及ぼさないものなのか、害を及ぼすものなのか確かめる手段が果たしてあるでしょうか? (調査機関に送ればわかりますが、時間もお金もかかります)
安いのはありがたいけれども、それで不健康になってしまっては元も子もありません。
どうしてカビが生えるの?
不衛生な食器を使っている
自家製ヨーグルトを作る際には「種菌」を牛乳に入れる必要があります。
ここで注意したいのが、種菌を移すスプーンや、牛乳を入れる器が不衛生だと雑菌が一緒にくっついていってしまうことです。
ヨーグルトが作られるのには「適度な温度」が必要ですが、これは雑菌にとっても同じことです。むしろ、周りに牛乳という栄養がたっぷりあるところに移るわけですから繁殖し放題というわけです。
スプーンや器は必ず煮沸消毒しましょう(80℃で30分熱を加えればカビはほぼ死滅します。100℃であれば数分でOK)
また、できるのであれば牛乳を65℃以上に加熱してから使うことも効果的です。
容器が密閉できていない
せっかくスプーンや器を煮沸消毒していても、フタをしていなかったり、フタがゆるかったりすると空気中に浮遊している雑菌が混入してしまいます。
種菌を入れた牛乳は密閉できる容器に入れましょう。
温度が40℃以上になっていない
カビを発生させないためには牛乳を40℃以上に保つことが必要です。これは40℃以上になるとカビの増殖をかなり抑えることができるためです。
しかし、一般家庭で室温を40℃以上にするのは現実的ではありません。
種菌を使いまわしている
自家製ヨーグルトは作ったものを次の牛乳に入れて作り続けている人がいますが、それをしてしまうと種菌の力が弱まり、雑菌の繁殖力に負けてしまいます。
美味しいヨーグルトを作り続けるためには定期的に新しい種菌に変える必要があります。
簡単に安全に自家製ヨーグルトを作る
簡単に安全な自家製ヨーグルトを作るのであれば、おとなしく温度調節機能付きのヨーグルトメーカーを使いましょう。
少し場所を取るかもしれませんが、安全には代えがたいです。
ヨーグルトメーカーのメリット
・煮沸消毒の必要がない
牛乳パックをそのまま使うため容器を煮沸消毒する必要がありません。
・温度制御ができる
温度制御も1℃単位でできます
LG21は自家製が難しい
ピロリ菌に対して強いと言われている「LG21」ですが、売っている容器が小さいため、「これを自分の家で作れればコストパフォーマンスに優れるじゃないか?」と思って作っている人もいると思います。
ところが明治乳業の回答によれば、LG21は偏性嫌気性菌(酸素を嫌う菌)のようです。つまり普通にLG21を種菌としてヨーグルトを作ろうとしても大概死滅してしまっているのです。家にに酸素を抜く機械があれば別ですが、一般家庭で作るには不向きなヨーグルトと言えます。
プロビオヨーグルトLG21には、他の乳酸菌が含まれていますので、ヨーグルトを作ることはできます。ただし、LG21乳酸菌は、空気(酸素)に弱いため培養が難しく、一般家庭では同じヨーグルトを作ることはできません。
「いや、でもちゃんとヨーグルトになっているよ」というあなた。それはきっとLG21ではなくて通性嫌気性菌(酸素があってもなくても生存できる菌)である「ブルガリア菌」や「サーモフィラス菌」が増えているだけですから!
R-1は自家製に向いている菌
LG21は自家製が難しいと書きましたが、同じく明治乳業から販売されているインフルエンザに対して効果があると言われている「R-1」は可能なようです。ただし、本来の効果は見込めないとのことですので、そこは注意したいところです。
プロビオヨーグルトR-1を種菌にしてヨーグルトを作ることはできます。ただし、プロビオヨーグルトR-1の特長である1073R-1が作り出すEPS(多糖体)の量は、原材料や発酵条件等により異なります。一般家庭ではこの商品と同等量のEPS(多糖体)を作り出すことができないと考えられます。