日本企業に務める10人に1人人が過労死ラインと呼ばれる80時間/月 以上の残業をしている環境ですので、対岸の火事と笑っていられる状況ではありません。
※厚労省が「過労死白書」を発表! 10人に1人が過労死の危険性にさらされている!
「そんなこと言っても仕事が終わらないからしかたがないじゃないか。」「まわりのみんなもやっているんだし、自分だけ手を抜いたり早く帰ったりはできない」という人も多いと思います。欧米諸国とは違い日本は「終身雇用」が根強い企業風土があるので、転職者に対する間口は欧米と比べるとかなり小さいと言えます。
ですので「こんな会社辞めてやる」と思っても条件の良い転職先はなかなか見つからず、結局今の職場で耐えるしかないという選択肢をとってしまい、肉体的・精神的に追い詰められてしまうのでしょう。
この日本の「終身雇用」の考えは一朝一夕にどうにかなるものではありません。これは長い年月をかけて変わっていくのを待つしかありませんが、職場に関して、転職せずとも職場環境を変えることができれば問題を解決することができます。今回はどうやったら職場環境を変えられるのかについて防衛手段を紹介してみたいと思います。
過重労働の記録を取る
いくら過重労働をしていようが、それを証明する手立てがなければ意味がありませんので自分が過重労働をしているという記録(証拠)を取ることが重要になってきます。
タイムレコーダーで出退勤記録をつける
出退勤の時間を刻むタイムレコーダーは労働時間の把握に役立ちますので、必ずとっておきましょう。
日誌・twitterに記録する
今日はどんなことをした。どれくらい労働をしたのかを記録しましょう。ノートでもいいですし、今だったらtwitterに記録するのもいいでしょう。2016年10月に話題となった電通の女性社員の自殺についてはtwitterにその過重労働ぶりが赤裸々に告白され多くの人の目にとまることとなりました。
ボイスレコーダーで業務命令である証拠をとっておく
ボイスレコーダーで記録する意味は大きく2つあります。
・労働時間が長いのは上司の命令であることを証明する
・パワハラを受けている場合の証拠
1つめの労働時間が上司の命令であることを証明する。ですが、そもそも「残業」は上司の命令によって行われるものです。ですので、勝手に会社に残っていて(たとえば同僚とおしゃべりをしていて)タイムレコーダーを押すのが遅くなった場合などは過重労働と認められる可能性が低くなるばかりでなく、逆に遊んでいて残業代を懐に入れていたのであれば、その責任を問われることになりかねません。
そうじゃないんだ。上司の命令で本当は帰りたいけど命令だから仕事を終わらせないと帰れないんだ!ということを証明するためにも上司の「これをやるまで帰るんじゃないぞ」「これを明日までに間に合わせてくれ」などの言質を取る必要があるのです。
2つ目のパワハラについての証拠ですが、80時間という時間的・肉体的な負担もありますが、パワハラなどのように精神的に追い詰められる場合なども過労死につながりやすいとされています。もしパワハラ・セクハラなどを受けているのであればボイスレコーダーで証拠をとっておきましょう。
労働基準監督署へ届け出る
匿名性について
労働者の過重労働等を取り締まる労働基準監督署ですが、多くの人は労働基準監督署へ届け出ると、「届け出をした自分の名前が公開されて、後々の出世に響いたり、居づらくなったりしないの?」と不安に思っているようです。
労働基準監督署への届け出については、自分で名乗ることもできますし、匿名を希望すれば表になることはありません。「過労死しそうだ」と思ったのであればすぐにでも届け出をすることをお勧めします。
①「匿名だが、情報提供内容(メールの内容)を明らかにしてよい」、②「匿名だが、情報提供があったこと(メールがあったこと)のみ明らかにしてよい」、③「匿名の上、メールがあったことも明かさないでもらいたい」の3つから選択していただく方式になっています。
引用元:厚生労働省HP「情報提供のポイント」
本気で届け出するなら直接訪問すべし
労働基準監督署へ本気で届け出をするのであれば、メールや電話ではなく直接労働基準監督署を訪ねましょう。メールや電話だと「イタズラの可能性」が排除しづらいため、担当者の優先順位が低くなってしまいがちです。「このままでは過労死する!」という危険性がすぐそこに来ているのであれば、直に訪問したほうが担当者にも深刻さがわかってもらる可能性が高くなるはずです。
ちなみに労働基準監督署は2016年から過重労働の取締を強化しており、過労死ラインである80時間以上の労働をさせていそうな事業所を厳しく取り締まるとしています。