【南海トラフ地震】 最悪想定では死者・行方不明者32万人。経済損失1,410兆円。

2016年5月25日

南海トラフ地震による被害は最悪の想定をした場合、経済損失が220兆円。20年間の長期的な損失では1,410兆円とも言われています。

南海トラフ地震はいつ? どこで? どのくらいの確率で起きるものなのか? をわかりやすくまとめました。

 
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南海トラフ地震とは

南海トラフとは2つのプレートがぶつかり合う場所のこと

日本の周りには4つの大きなプレート(北米・太平洋・フィリピン海・ユーラシア)があります。このプレートのうち「ユーラシアプレート」と「フィリピン海プレート」がぶつかり合う場所が南海トラフです。

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地震は大きく「活断層型地震」と「海溝型地震」にわけられますが、南海トラフ地震は海溝型地震になります。

ちなみに東日本大震災は「北米プレート」と「太平洋プレート」がぶつかっている日本海溝が原因で起きた同じ海溝型の地震でした。

地震発生のメカニズムと強い地震が起きやすい地域について

 

出展:「地震調査研究推進本部

東海地震や東南海地震、南海地震とは違うの?

少し前までは、南海トラフ地震とは呼ばれずに「東海地震」とか「東南海地震」、「南海地震」と呼ばれていました。

それが今は南海トラフ地震と呼ばれています。こう呼ばれるようになったのは東日本大震災がきっかけとも言われています。

実は東日本大震災も起きる前までは宮城県沖地震や福島県沖地震と呼ばれていました。それが東日本大震災においては、それらの地域が一斉に連動して大きな地震つまり連動型地震となって発生してしまいました。

このことから、東海地震・東南海地震・南海地震も連動型地震として起きる可能性があるとして、南海トラフ地震と呼ばれるようになりました。つまり

東海地震+東南海地震+南海地震 = 南海トラフ地震

というわけです。

 

南海トラフ地震の発生頻度と規模

発生頻度と規模

気になるのはどの程度の頻度で南海トラフ地震が起きているのか? ということではないでしょうか。

南海トラフ地震は100~150年に1回地震が起きています。

間近なところでは南海地震・東南海地震が起きてから70年、東海地震が起きてから160年経過していますので、そろそろ起きる可能性が高いと言われています。

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過去1400年間を見ると、南海トラフでは約100~200年の間隔で蓄積されたひずみを解放する大地震が発生しており、近年では、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(1946年)がこれに当たります。昭和東南海地震及び昭和南海地震が起きてから70年近くが経過しており、南海トラフにおける次の大地震発生の可能性が高まってきています。

引用元:「地震調査研究推進本部HP

地震本部によれば、南海トラフ地震が30年以内におきる可能性が70〜80%ということです。

駿河トラフがまだ「ずれて」いないことに注意

東海地震は駿河トラフがずれた時に起こる地震です。上表を見ていただいてわかるようにに昭和東南海地震と昭和南海地震ではこの「駿河トラフ」がこの160年間ずれていません

前回の地震(東南海地震[1944年、マグニチュード7.9]、南海地震[1946年、マグニチュード8.0])の際には南海トラフ沿いの岩盤だけがずれて、駿河トラフ沿いの岩盤だけがずれずに残ってしまいました。そのため、駿河トラフ周辺の部分の岩盤は160年以上もずれていない

引用元:「気象庁HP

駿河トラフは先の安政東海地震・安政南海地震(1854 マグニチュード8.4)から160年間ずーっと力を蓄えているという状況になっています。

この駿河トラフがずれた時に連動型地震として南海トラフ地震が起きるのでは? と推測されています。

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南海トラフ地震の予想震度と津波の高さ

各地の最大予想震度

内閣府による東日本大震災を教訓として、科学的に想定し得る最大規模(M9クラス)の地震・津波を検討した結果の震度はこちらです。

静岡・愛知・三重・和歌山・徳島・高知、宮崎は特に大きい揺れに見舞われる地域だと想定されています。

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出展:「内閣府 防災情報のページ(http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/34/pdf/34_siryo1-1.pdf)」

 

各地の予想される津波の高さ

こちらも同じように、静岡・愛知・三重・和歌山・徳島・高知の太平洋沿岸には10m以上の津波が襲ってくる可能性があると想定されています。

東日本大震災での津波も10m以上でしたので、同等クラスの津波だということです。

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出展:「内閣府 防災情報のページ(http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/34/pdf/34_siryo1-1.pdf)」

 

「最悪」を想定した場合の被害予想

死者・行方不明者32万人・経済損失220兆円(内閣府)

死者・行方不明者 :323000人(東日本大震災は18800人)

全壊棟数     :2386000棟(東日本大震災は130400棟)

経済損失     :220兆円

内訳は被災地の民間部門が150兆円(住宅被害が120兆円、家庭用品が10兆円、その他20兆円)、インフラ復旧7兆円、廃棄物処理7兆円、そして被災したことによる全国への経済活動への損失(生産・サービス低下)によるものが45兆円が主だったものになります。

ただし、この民間部門の損失ですが、減災効果(耐震対策や感震ブレーカーの設置など)がしっかり行われれば、63兆まで減らせるとしています。ですので、耐震対策はしっかりしておきましょう。

注意) これは予想されうる「最悪」の場合の値であって、次におこる地震がマグニチュード9ということを示唆しているわけではありません。

ライフライン被害(内閣府)

電気・ガス・水道といったライフラインも相当の被害を受けると思われます。
【備蓄の参考】地震の時のライフライン(電気・ガス・水道)復旧日数まとめ)

停電人口 当日2,700万人
翌日1200万人、一週間後140万人、一ヶ月後90万人

ガス不通人口:当日180万人
翌日180万人、一週間後150万人、一ヶ月後49万人

断水人口:当日3,400万人
翌日2800万人、一週間後1700万人、一ヶ月後460万人

固定電話の不通人口:当日930万人
翌日460万人、一週間後60万人、一ヶ月後23万人

携帯電話の不通人口:当日930万人
翌日460万人、一週間後60万人、一ヶ月後23万人

避難者 700万人
翌日700万人(うち避難所430万人、避難所以外270万人)、一週間後950万人(うち避難所500万人、避難所以外450万人)、一ヶ月後880万人(うち避難所260万人、避難所以外620万人)

当日の帰宅困難者数 380万人

 

引用元:「内閣府 南海トラフ巨大地震の被害想定について(http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/20130318_shiryo3.pdf)」

長期的には1,410兆円の経済被害(土木学会)

また、2018年6月7日に土木学会が、南海トラフ地震が起きた場合の長期的な被害予想を公表しました。

南海トラフ:1,410兆円
首都直下地震:778兆円

数字が大きすぎてよくわからないと思いますが、日本の国家予算が100兆円くらいなので、14年分の予算をすべてつぎ込むくらいの甚大な被害になるとの予想です。

もし、これが現実となれば「日本は世界で最貧国に転落する可能性さえある」と土木学会では述べられています。

参照元:「土木学会

まとめ

南海トラフ地震は長期的な周期とはいえ、いつかは起きることは確実視されています。その時のために、万全の備えをしておきましょう。

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